とんことり。
最近よく、いい子だね、と言われる。
いい子。
近所の人は大抵言う。
「犯罪に手を染めるような子じゃなかったのに、
挨拶するいい子だったのに」
挨拶を交わすくらいの近所付き合いで
相手の何がわかるんだろう。
私は友人だって、恋人だって、そして両親のことだって、
本当はきっと何にも知らない。
誰かに対してはaという存在で 誰かに対してはbという存在で、 そんな風にiくらいまである存在。
誰かにとってのいい子なんて 誰かにとってはほんとは全然いい子じゃない。
私がいい子なんじゃなくて あなたの前ではdという存在なだけ。
本当に好きな人の前では わたし、 ちっともいい子なんかじゃない。